弊社の新入社員が制御技術グループ(PLCのプログラムを担当)に配属されると、まずPLCについて勉強していく訳ですが、そこで最初に疑問が生じるのが「PLCにおける入出力」とは何かという概念です。
「入出力」とは読んで字のごとく入力と出力ということで、例えばパソコンでいえばキーボードでキーを打つことでパソコンへ情報が”入力”され、モニターにその結果を表示することが出力であるということは何となく理解できるかと思います。ところが、いざFA(ファクトリーオートメーション)の世界ではどのようなことを意味するのか、というのはなかなか理解しづらいようです。

そこで今回は簡単な例でPLCにおける入力と出力の関係を説明したいと思います。

PLCでドロボーを捕まえろ!

PLCは基本的に、何かの入力(条件成立も含む)を受けて何かを出力します。
今回は、スパイ映画などでよく登場する赤外線センサーと連動した警報装置を例としてご説明いたします。

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泥棒が宝石を盗もうと近づくと、センサーに引っかかり警報が鳴るというあれです。上図のようなものですね

これは泥棒が赤外線センサーに気がつかず、赤外線センサーを自分の体で遮ることでセンサーが動作(スイッチがON)し、センサーから配線されているPLCの入力ユニットがONを認識し、警報を鳴らすための出力スイッチをONさせ警報装置に配線された電線に電気が流れ警報が鳴るという単純な仕組みでできています。単純な仕組ですけど、言葉で説明するとわかりにくいので、図を用いてひとつひとつ解説します。

 

センサーによる警報システムの平常時の状態

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①センサー遮断によるスイッチはOFFの状態
②警報ベル用出力は、入力がないのでOFFでベルはならない

 

ドロボーが侵入しセンサーに触れ、警報装置のベルが鳴っている状態

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①ドロボーがセンサーに接触することで、センサー遮断スイッチがONになる
②警報装置ベル用の出力がONになり、警報が鳴る
③警報装置作動停止操作スイッチはOFFなので、警報は鳴り続ける。

ドロボーがセンサーを離れたが、警報が鳴り続けている状態

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①泥棒が通り抜けて、センサー遮断のスイッチはOFFになる。
②センサー遮断のスイッチはOFFになっても、警報遮断停止操作スイッチがOFFなので鳴り続ける。

ドロボーが捕まり、警報装置作動停止操作スイッチ押すことで、
警報が止まった状態

 

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②の警報装置作動停止操作スイッチがONされることで、①警報装置ベル用出力はOFFになるので警報は止まり、平常時の状態になる。

 

つまり「PLCにおける入出力」とは・・・、
入力:PLCの動作を制御する為の条件です。赤外線センサーや押しボタンスイッチ、セレクタスイッチなどが代表的な装置として使用されます。
出力:入力の結果として、警報ベルを鳴らしたり、パトライトを点灯させたりすることです。

制御技術G 森下