ラダー・ロジックまたはラダー言語は下記の図のような論理回路を記述するための手法で、現在多くのPLCで採用されているプログラム言語です。
ラダー図という場合もあります。

論理回路とは

AND、OR、NOT回路が基本で論理演算を行う電子回路です。
ON、OFFの組み合わせにより回路を構成し論理演算を行います。

倫理回路図

AND回路の場合、入力A及び入力Bが両方とも「1」でない限りは出力Xは「1」とならない。
OR回路の場合は、入力A又は入力Bのどちらかに「1」が入っていれば出力Xは「1」となる。
NOT回路では、入力Aの値が反転され、入力Aが「0」の場合出力Xは「1」となり、入力Aが「1」の場合、出力Xは「0」となる。

 

ラダー言語の本来は、電気の流れを制御するために、シーケンス回路では頻繁に使用される機器であるリレーによる論理回路を記述するために考案されたもので、ラダーという名前は、この言語のプログラムが2本の並行するレール(母線)とその間に渡されるラングによって梯子(ラダー)のように見えることに由来します。

ラング

PLCは従来の自動化システムで使われていた何百ものリレーを置き換える代替品として開発されたものです。
PLCを使用するようになった理由として、従来のリレー回路であると機械の仕様変更や製造過程の変更など変更事項があるたびに回路の配線変更や修正を行わなければならない。
PLCが開発されたことにより、実際の配線変更などなくラダープログラムの修正のみで動作変更などが可能になったため、ハード的なリレー回路よりソフト的なPLCを使用しラダープログラムを作成されるようになりました。

ラダーは他のプログラム言語と違いシーケンス図をベースとしたプログラムである為に、電気図面が理解できる人であれば新たなトレーニングを受けなくても、理解することができる利点があります。
つまり、新たなトレーニングを受けなくても理解・利用しやすいという点で優れている言語です

 

メーカや機器によって微妙に違うラダー言語

ほとんどのPLCメーカが自社用のラダー・ロジック用のプログラミングツールを提供しています。

メーカー プログラミングツール
三菱 GX Developer
日立 S10tool、S10Vtool
キーエンス KV STUDIO
オムロン CX-Programmer

通常はメーカが異なれば完全な互換性はありません。
例えば、内部コイル(リレーと同じ役目をします)というデバイスがあるのですが、三菱の場合は「M」で表記され「M○○○」といったようになります。
日立の場合は「R」で表記され「R○○○」といったようになります。

同様に同じメーカーのシリーズのPLCであっても型番が違えば記述方法が異なります。
三菱では特殊デバイス、特殊レジスタというものがあります。
これは、プログラム作成者が割付ける通常のデバイスとは違いシステム側でセットされているデバイスです。
例えば、「常時ON」というデバイスは名前の通り常にONしている接点なのですが、Qシリーズだと「SM400」という命令になります。
一方、Aシリーズになると「M9036」になります。
同じ役割を果たす接点ですがシリーズの違いによって異なります。

このように、いざプログラムの移植の場合、メーカーが代わると変換ツールなどが無く基本的に既存のプログラムを解読し、新たなPLCのプログラムを作成しなければなりません。
変換ツールなどが場合は当然1行づつ手入力となり、何千とあるステップを全て手入力しないといけないため一筋縄ではいきません。
現在はこの方法しかありません。

このようにラダーは新たなトレーニングが必要なく理解しやすいプログラム言語とありましたが、本当に誰でも簡単にできるというものではなく、ある程度の知識や経験が必要となります。
その他のC言語やHTMLなどといったほかの言語のプログラムに比べて、参考書などが少なく勉強しづらいプログラム言語です。
しかし、マシン制御のプログラムとしてはシーケンス図が理解できるエンジニアからすれば、非常に分かりやすく素晴しいプログラムだといえます。
条件を「ON」、「OFF」させるだけでなく演算や転送命令、タッチパネルなどへの表示命令などもすることが可能です。

もしどうしても解らない点がございましたら、気軽に弊社までお問合せください。
弊社スタッフも、全てのメーカーのプログラム言語をカバー出来る訳ではございませんが、出来る限りご相談には応じます。

制御技術G 森下、齋藤