ラダープログラムを組む際に、『見やすい回路』はとても重要な意味があります。
見やすい回路とは、ラダープログラムの作成者以外が内容を容易に把握できる回路の事です。
見やすい回路のメリット
- 見やすい回路をであれば、業務の引継ぎにおいて相手の理解が早くスムーズに行なえます。
後にプログラムの機能追加や改修時に現状の理解が早く行え、作成者ではないプログラマーであっても、作業効率が上がります。 - これからご紹介する、見やすくするためのポイントを抑えれば他の回路でも応用が利くため、作成者は回路のパターン化ができるようになり、パターンの構築によってプログラムの作成時間を格段と早める事が可能になります。
見やすい回路の組み方にはいくつかのポイントあります。
そのポイントを踏まえながら組むと格段と見やすくなります。
今回は【全体的な見やすさ】と【個別的な見やすさ】と【思いやりの見やすさ】の3つのポイントに絞って解説します。
全体的な見やすさについて
ポイント1 ~回路を分ける~
初見の回路でデバイスNo.が分かっているのであれば、検索して見つけるのは容易です。
しかしデバイスNo.が分からない場合、全ての回路が集約していると情報量が多すぎるために見たい回路になかなか辿り着けません。
そこで回路(プログラム)を区分すると多少見やすくなります。
ポイント2 ~領域を決める~
例えば3つの運転(A運転・B運転・C運転)を行う時に、各運転に使用するデバイス数をプログラム作成前に確保して置きます。
途中でプログラムの追加が有っても平気なように余裕を持って確保すると良いでしょう。
・ A運転 … M110~M129
・ B運転 … M130~M149
・ C運転 … M150~M169
A運転はM110から、B運転はM130から、C運転はM150から。このように領域を決めてしまえば検索するデバイスNo.を絞る事ができます。
また各運転にてできる限り同じ番号で統一してあげるとより見やすくなります。
・ A運転 … M110~M129 / T110~T129 / C110~C129 / D110~D129 etc
・ B運転 … M130~M149 / T130~T149 / C130~C149 / D130~D149 etc
・ C運転 … M150~M169 / T150~T169 / C150~C169 / D150~D169 etc
この要領で、アラーム回路は0~99・タッチパネル回路は500~と決めて使用すると良いでしょう。
個別的な見やすさについて
ポイント1 ~範囲を狭める~
【全体的な見やすさ】のポイント2でデバイス数を確保して各運転の大まかな情報は把握できるようになりました。
しかしこのままでは、A運転の運転開始は何番なのか・C運転の運転終了は何番なのかが分からない状態です。
デバイスコメントを見れば済む事ですが、デバイス数が多い場合はやはり見つけるのが困難になります。
そこで各動作を下桁で統一すればそのような手間は要りません。
M1×0 → 運転名称
M1×1 → インタロック
M1×2 → 運転開始
M1×3 → 運転終了
上記のポイントを盛り込んだラダープログラム
ポイント2 ~回路の場所を把握する~
新規で作成する回路ではあまり考えないで良いのですが、既存の回路に追加する場合にどこに追加したのかを覚えなければいけません。
こちらも追加項目が少なければ全て覚えることは可能ですが、追加項目が多い場合は検索するだけで時間を費やしてしまいます。
こんな時に役立つのがダミーコイルです。
追加した回路の先頭にダミーコイルの接点を入れるだけで場所の把握が容易になります。
例 … M100 [ 20140310追加回路 ] 下図参照
思いやりの見やすさについて
ポイント1 ~未使用回路を消さない~
上図の出力回路にY151が未使用にも関らず残してあります。
こうする事で誰が見てもY151は未使用である事が一目瞭然です。
ポイント2 ~より多くの情報量を残す~
上記のプログラムはステートメントやコメントを付けているので、その回路が何のために存在するのかが分かりやすくなっています。
ここで気を付ける事があります。
それはただ多くの情報量を残すのではなく簡潔な一言でまとめるのが良いでしょう。
余計な情報はより分かりにくくさせてしまいます。
まだ他にも見やすくするためのポイントはあると思います。
今回は、ほんの一例として取り上げてみました。
制御技術G 古賀