1.MELSECNET

通常、PLCは単体で制御しています。そのため、機械単独での運転が中心で他の機械の情報を得ることが出来ません。

単体の機器をネットワーク化することで多くの情報のやり取りをできるようになります。
ネットワーク化することのメリットは情報のやり取りを行うだけでなく、省配線化が挙げられます。

これまでの入出力信号での制御では使用する信号の数だけ配線が必要となりますが、ネットワーク化することにより通信ケーブル一本で制御できることになります。
また、省配線化によりコストダウンにもつながります。

現在では、PLCによる生産システムのネットワークは下記のように階層化されています。

種類 概要 主な
ネットワーク
情報系
ネットワーク
情報管理 最上位のネットワークには、Ethernetを活用。
さまざまな生産情報の収集・管理等を通して生産の効率化を実現します。
Ethernet
制御系
ネットワーク
生産制御 製造装置間を結ぶ制御ネットワークです。
高速通信と大容量リンクデバイスにより、
機械設備の運転・動作に直接関係するデータを、
制御装置間でリアルタイムに通信できます。
MELSECNET/H
フィールド
ネットワーク
装置制御 装置内の制御装置と駆動機器やアクチェータなどの間を
リアルタイムで通信し、制御と情報を同時に扱える高速ネットワークです。
CC-Link
省配線
ネットワーク
機器、I/C制御 複雑な配線作業、誤配線などから現場を開放するため、
盤内・装置内の省配線を目的にしたネットワークです。
CC-Link/LT

MELSECNET_18

MELSECNET専用ケーブルでPLC間を接続しリンクすることのより各PLC間のリンクデバイス内のデータを共有することが出来ます。

例①

PLC①の入力X1がONするとリンクデバイスB1をONさせ、PLC②にその情報を渡しPLC②内での処理を行う。

PLC①

MELSECNET_02

PLC②

MELSECNET_03

例②

PLC①の入力X1がONするとリンクデバイスW100にD10の値を格納し、PLC②がその値が”999”の時のみ出力処理を行う。

PLC①

MELSECNET_02

PLC②

MELSECNET_03

上記の例のようにPLC間でデータを共有することが出来ます。
例②のワードデータを共有できることが一番のメリットと言えます。

2.構成

MELSECNET/Hのネットワークは、管理局と通常局で構成します。局番は、接続するユニットごとに異なる番号を指定します。管理局と通常局の設定は、GX Developerのネットワークパラメータで指定します。

管理局は、ネットワークパラメータを管理する局のことです。管理局は、同一ネットワーク内に1局のみ設定します。
通常の光ループシステム用にはQJ71LP21-25が使用されます。管理局、通常局ともにこのユニットを使用することが出来ます。

QJ71LP21-25

QJ71LP21-25

ネットワークあたりの
最大リンク点数
LB 16384点
LW 16384点
通信速度 25Mbps/10Mbps
最大接続局数 64局
入出力占有点数 32点

※ユニットの設定

ユニット前面にあるロータリースイッチの設定する必要があります。
ロータリースイッチには”STATION NO.”と”MODE”がありその両方を設定します。

STAITON NO.
ネットワークユニットの局番を設定します。
×10のところには10の桁を、×1のところには1の桁を設定します。
局番は重複させないように注意して下さい。

MODE
ネットワークユニットの運転モードを設定します。
データ交信をするときはオンラインモードを設定します。各モードの詳細は下記の通りです。

0 オンライン 10Mbps使用時
1 自己折返しテスト
2 内部自己折返しテスト
3 ハードウェアテスト
4 オンライン 25Mbps使用時
5 自己折返しテスト
6 内部自己折返しテスト
7 ハードウェアテスト
8~Fは未使用

3.GX Developerでの設定

GX Developerでのパラメータ設定を説明します。

①I/O割付設定

パラメーター→PCパラメータ→I/O割付設定をクリック

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例として64点入力、出力カードがそれぞれ2スロットとQJ71LP21-25を設定します。
割付例は下記のようになります。

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②ネットワークパラメータ設定

ネットワークパラメータをクリック

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例として管理局、総局数3で設定します。

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次に上記赤枠のネットワーク範囲割付の設定を行います。
ネットワーク範囲割付設定は管理局が各局の送信範囲を任意で割当て設定します。

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例として上記のように設定しました。
上記例は各局512点のLB,LWデバイスが割り付けられています。
LBはビットデバイス、LWはワードデバイスとなります。

4.他局への接続

MELSECNETで接続している場合、他のPLCに接続することができます。
例えば、PLC①とパソコンを接続している状態で他の場所にあるPLC②にオンライン接続できモニタ、プログラムの収集などが出来ます。
接続先指定の方法を紹介します。

オンライン→接続先指定をクリックすると下記の設定画面が表示されます。

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上記の設定の中の他局設定を”他局(単一ネットワーク)”を選択し、ネットワーク通信経路を”CC IE Cont NET/10(H)”を選択します。

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”CC IE Cont NET/10(H)”をダブルクリックし接続するPLCのネットワークNoと局番を設定します。

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例として、ネットワークNo.を1、局番を3で設定しています。

最後に通信テストをしてみて接続に成功すればそれ以降は通常の操作と同じ操作で進めることが出来ます。

制御技術G 齊藤