今回は自動制御において自己保持回路と同じくらい重要なインタロック回路について解説します。

参照⇒自動制御の基本「自己保持回路」をラダープログラムで組む

インタロック回路って何?

インタロック回路とは、「同時に2つの動作をさせないための回路」のことです。
例えばエレベータでは、必ずいくつかのインタロック回路が組み込まれています。
普段何気なく使っているエレベータでは以下のようなことは起こりません。

イラスト

イラスト1

この2つに共通して言えるのは、どちらもエレベータを安全に乗るための基本的な条件であるという事です。
ここにインタロック回路が組み込まれています。
このように、インタロック回路とは1つ1つの動作を開始から終了まで確実に実行されなければ、次の動作または別の動作ができないための安全回路の基本になっています。

インタロックの役割

インタロック回路はあらゆる回路に使用されています。
特に、工場のFA制御においては、巨大で危険な装置が多いためまず作業者の身の安全が最優先されます。安全が確保できなければ工場内で事故が多発し、その都度生産ラインが止まるとなれば工場の機能を著しく低下させてしまう事に繋がります。
インタロックを使用する事で、装置の動作を細かくコントロールできるようになります。
安全が確保させる例としては、止まっている装置内に入って作業する際、急に装置が稼動して挟まれたり、押し潰されたりなどの作業者と装置間のトラブルを回避できます。
また自己保持回路と併用する事で、人員削減・生産性の向上に加えて作業者の安全確保ができます。
また無理な操作で過負荷をあたえることが装置故障の原因になるため、インタロック回路を使用することでそれらを防ぐ役割も担っています。

【無理な操作の例】
①モーターが正転している時に無理やり逆転させました。
②これ以上その方向には進めないのに、移動指令を出し続けました。

上記の例をインタロックを使用すると、
①は正転している時、逆転ボタンを押しても逆転できなくさせます。
②も同様に移動が完了したら移動ボタンを押しても移動できなくさせます。

インタロック回路の作成

このように安全確保や生産性向上のために大切なインタロック回路ですが、ラダープログラムではインタロック回路は簡単に作成できます。
同時に動いてはいけない回路にお互いの出力デバイス(b接点)を加える事でインタロック回路は完成です。

ラダー図

※Mデバイスとはラダープログラム上でよく使用するプログラム内部リレーデバイスです。
詳細は記事『PLCを動かすためのプログラム』を参照してください。

このように、インタロック回路は自動制御においては安全で正しい動作手順をコントロールするためには必要な回路なのです。

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制御技術部G 古賀