FA制御での現場では、仕様によってシリアルコミュニケーションユニットを使用する機会があると思います。
シリアル通信の使用目的としては、部品の価格が安いなどの理由から計測器、バーコードリーダーなどの機器と交信をする手段として利用されています。
また、接続機器の自由度が高いので多くの機器との交信に使用されていますが、相手接続機器の通信仕様を理解出来ていないと正常に通信させることが出来ません。
また、シリアル通信は通信方法に種類がたくさんありますので、今回は232Cの通信方式で説明いたします。
例えば「コンベアで荷物を流し、バーコードリーダーで荷物についてるバーコードを読み取りさせ仕分けさせる」と言った制御に使用する場合を、三菱のMELSEC-QシリーズのQJ71C24Nと相手機器にバーコードリーダーを用いて通信設定、配線接続例を簡単に説明したします。
シーケンサからの接続
QJ71C24Nの232Cコネクター部に232Cケーブルを接続します。
信号線は、制御線と通信線で構成されており、どの信号を使用するかは、通信機器の通信仕様によります。
希望する配線が市販されていない場合はコネクター加工(半田付け)、配線をする必要があります。
ピン番号 | 信号略号 | 信号名称 | 信号方向 C24 相手機器 |
---|---|---|---|
1 | CD(DCD) | データチャンネル受信キャリア検出 | |
2 | RD(RXD) | 受信データ | |
3 | SD(TXD) | 送信データ | |
4 | ER(DTR) | データ端末レディ | |
5 | SG | 信号用接地 | |
6 | DR(DSR) | データセットレディ | |
7 | RS(RTS) | 送信要求 | |
8 | CS(CTS) | 送信可 | |
9 | CI(RI) | 被呼表示 |
各制御信号説明
1.CD(DCD)信号
CD端子チェックありを設定時 | CD端子チェックなしを設定時 | |
---|---|---|
全二重通信時 |
|
|
単二重通信時 | ユーザーズマニュアル(応用編)参照 | 設定不可 |
2.RD(RXD)信号
*データ受信用の信号
3.SD(TXD)信号
*データ送信用の信号
4.ER(DTR)信号
*無手順プロトコルによりデータ交信しているとき,DTR/DSR制御を行っていれば受信データ格納用のOSエリアの空きサイズによりQシリーズのC24がON/OFFします。
(データ受信可能でON) ER(DTR)信号のOFF時は,OSエリアに受信データを格納しているので、シーケンスプログラムから受信データの読出しを行ってください。DTR/DSR制御を行っていなければ、常時ONとなります。
*MCプロトコルまたは双方向プロトコルによりデータ交信しているときは,交信可能にてONします。
5.DR(DSR)信号
*DTR/DSR制御を行っている場合,OFF時はQシリーズC24から相手機器へデータを送信しません。
相手機器が受信可能状態のときは,常時ONとなるようにしてください。
(DTR/DSR制御を行っていなければ,DR(DSR)信号の状態を無視します。)
6.RS(RTS)信号
*通信方式により,QシリーズC24が次のようにON/OFFします。
*通信方式が全二重通信のときは,QシリーズC24レディ(X1E)がONであれば,RS(RTS)信号をONします。
*通信方式が半二重通信のときは,QシリーズC24から相手機器へデータ送信するときにRS(RTS)信号をONします。
*QシリーズC24に受信データを格納できない状態になっても,RS(RTS)信号はOFFしません。
7.CS(CTS)信号
*OFF時は,QシリーズC24から相手機器へデータ
*相手機器が受信可能状態のときは,常時ONとなるようにします。
8.CI(RI)信号
*CI(RI)信号は,モデムの状態をQシリーズC24側でモニタするときに使用します。必要に応じて接続してください。
モデムを接続しないときは,CI(RI)信号の接続は不要です。
CD信号がON/OFFできない相手機器で、DTR/DSR制御、DCコード制御が可能な接続例
(相手側機器にシリアルコミュニケーションとの配線接続例が示されている場合は、その配線例に従ってください。)
信号略号 | 信号名称 | 信号方向 C24 相手機器 |
---|---|---|
SDA | 送信データ(+) | |
SDB | 送信データ(-) | |
RDA | 受信データ(+) | |
RDB | 受信データ(-) | |
SG | 信号グラウンド | |
FG | フレームグランド | |
FG | フレームグランド |
各信号制御について説明
1.SDA,SDB信号
QシリーズC24から相手機器へデータを送信するための信号です。
2.RDA,RDB信号
QシリーズC24が相手機器からデータを受信するための信号です。
*接続ケーブルの各信号のnnAとnnBをペアで接続する
配線の注意点
*QシリーズC24側のSG信号およびFG信号を相手機器へ接続するときは,相手機器の仕様を確認して接続してください。
*接続ケーブルのシールドは,接続機器のいずれか片方のFG端子に接続します。
スイッチ設定 1
PCパラメータのI/O割付設定からスイッチ設定を選択し設定をします。
①スイッチ1,2はCH1になります。
②スイッチ3,4はCH2になります。
③スイッチ1,3の下位が伝送設定(C2)
④スイッチ1,3の上位が通信速度設定(05)
⑤スイッチ2,4は通信プロトコル設定(0006)
*計測器やバーコードリーダなどの相手機器側のプロトコルでデータ交信する
必要があるときは、無手順プロトコルによりデータ交信ことが出来ます。
⑥局番設定
無手順プロトコルデータ交信プログラム参考例
モニターはオンライン→モニタ→デバイス一括モニタを選択し、アスキー文字にチェックを入れると確認できます。
*シリアルコミュニケーションの中にはバッファ領域といって、データを一時的に保存する場所があります。
RS232Cでデータを受信すると、このバッファ領域に一時的に保存されます。このバッファ領域からデータを呼び出す必要があります。
接続機器によっては配線接続、通信方法(パラメータ設定)が違いますので、今回のシリアルコミュニケーションユニットの説明を参考にして、通信設定や接続を行ってください。
制御技術 森下、人見(優)