試運転とは、工場における自動制御システムのハード、ソフト設計を終え工事完了後にお客様納品前に行う最後の工程です。
お客様に納品する前に行うとても重要な工程と言えます。

1.作業順序

試運転を行う時の作業順序を説明します。
この順序は基本的にどの試運転も同じ順序で行います。

①I/Oチェック

I/Oチェックとは実際に配線された入出力等を正しく配線されているか確認する作業です。
正しく配線されていない場合は、正しい動作をしなかったり試運転時に予期せぬ場所が、突然動き出したりといったトラブルも起こりえます。

②非常停止確認

非常停止確認とは実際に非常停止が作動するか、または、リセットできるかの確認です。
非常停止確認は安全上一番大切な確認項目です。
試運転時及び納品後にマシンが停止しないと緊急時に大変危険です。
特に試運転時は不測の事態も起きることがありますので可動部に近づく時などは、非常停止をいつでも作動できる状態にしておくことが重要です。

③手動運転確認

試運転開始時にまずは手動運転から確認します。
手動運転は、自動運転と同じことをオペレーターが自ら操作することによりマシンを作動させていくものです。

④自動運転確認

自動運転は一連の動作を自動で確認する作業です。
この時に動作の順序、インターロックの確認なども行います。
自動運転時にあらゆる状況を再現し、マシンの本格稼働に影響がないものかテストします。
仕様通りの動作をするか、安全上問題ないかなどの確認をいたします。

2.注意事項

①安全について

試運転時は安全確保が最優先とされます。
可動部に手を入れないこと、通路の確保、非常停止の確認、緊急時の動力源の遮断などさまざまなことが注意事項として上げられます。
上記非常停止確認でも記述しましたが、試運転時は予期せぬ動作等をしてしまう可能性があります。そのため、非常停止を常に作動できる状態にしたり、声掛けの実施を行ったり一人作業をなるべく行わないことが重要です。

②試運転時の誤動作対応について

試運転前の設計段階でシュミレーションを行っても、現場で設計と違う動きをしたりすることやバグが見つかったりすることがあります。
そのような場合は、状況を何度も再現し、原因を追究しその対策を講じなければなりません。
電源をリセットすれば治るといったような軽度なバグでも確実にその対策を講じなければ、その時はよくてもその後の生産に影響をする場合があります。
弊社では、バグ等を徹底的に追究し仕様に沿ったものをお客様に提供するようにしています。

③試運転後の立会いについて

弊社では、試運転が終了しお客様の仕様通りの動作確認ができたら、生産立会いを行っています。
生産立会いとは、実際に生産を開始する際にスムーズに生産が開始できるように立会いを行っています。
実際の製品を製造することにより、試運転時には起こらなかった現象も発生する可能性があります。
そういう不具合も修正し、完全な状態でお客様の納得を得て完了と致します。

制御技術 森下、齊藤